 | 説明 |
2005.12.16(fri)
僕の大学のお隣には靖国神社がある。
神社にはベンチが至るところにあって、意外なことに灰皿も結構な数が
あるのでとても居心地がいい。平日に来ると暇そうな人しかいなくて静
かなのだ。庭園の池にはぶくぶく太ったコイが泳いでいて、老夫婦(あ
るいは老恋人達)がエサをまいては子供みたいにはしゃいでいる。僕
もエサをやろうとしたら自販機が「中止」だった。この二人はエサ持参
なのか。コイを千代ちゃんとか太助とか色々名前で呼んでいたので、常
連さんなのかもしれない。手すりをばんばん叩いてお目当てのコイを応
援している。なんだか愛らしい。
右手を見上げると、僕の大学の趣味の悪いビルが小枝にまぎれながら
そびえている。まるで頭の足りないお殿様がむりやり作らせた天守閣み
たいだ。ひとりでニヤニヤしてしまう。出来の悪いものに愛着を感じ
る。そこにあるいびつさ、とか、隙間に恋をする。それは僕に用意され
た間違い探しのように思える。老恋人たちは池に浮く島を渡って、上
空を眺めながら指さしている。
「ほら、あれがお殿様のおうちだよ」
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